菅官房長官談話

 1.航空自衛隊の現用戦闘機の消耗を補充し、その近代化を図るための次期戦闘機については、2011年12月20日の安全保障会議において、12年度以降、F35A42機を取得すること、一部の完成機輸入を除き、国内企業が製造に参画すること等を決定し、同日の閣議において了解された。F35は、米国等の9カ国によって開発中の最新鋭の戦闘機であり、その計画的な取得はわが国の防衛上不可欠である。政府としては、この安全保障会議決定および閣議了解に基づき、13年度以降は、F35の機体および部品(以下「部品等」という)の製造(整備を含む。以下同じ)への国内企業の参画を行った上で、F35Aを取得することとしている。F35の部品等の製造への国内企業の参画は、戦闘機の運用・整備基盤を国内に維持する上で不可欠であり、また、わが国の防衛生産および技術基盤の維持・育成・高度化に資することから、わが国の防衛に大きく寄与するものである。さらに、部品等の世界的な供給の安定化は米国等に資するほか、国内に設置される整備基盤により米軍に対する支援も可能となるため、日米安全保障体制の効果的な運用にも寄与するものである。
 2.F35については、従来わが国が取得した戦闘機と異なり、全てのF35ユーザー国が世界規模で部品等を融通し合う国際的な後方支援システム(ALGS=Autonomic Logistics Global Sustainmentという新たな方式。以下「本システム」という)が採用されている。本システムに参加することにより、必要なときに速やかに部品等の供給を受け、迅速な整備が可能となることから、わが国としてもより適切なコストでF35Aの可動率を維持・向上するため、本システムへの参加が必要である。本システムに参加する場合には、国内企業が製造もしくは保管を行う部品等または国内企業が提供するF35にかかる役務がわが国からわが国以外のF35ユーザー国に提供されることが想定されるが、本システムでは、米国政府の一元的な管理の下、F35ユーザー国以外への移転が厳しく制限されている。
 3.政府は、これまで、武器等の輸出については武器輸出三原則等によって慎重に対処してきたところであるが、上記の通り、国内企業の参画はわが国の安全保障に大きく資することにかんがみ、本システムの下、国内企業が製造もしくは保管を行うF35の部品等または国内企業が提供するF35にかかる役務の提供については、米国政府の一元的な管理の下で、F35ユーザー国以外への移転を厳しく制限すること、および移転は国連憲章の目的と原則に従うF35ユーザー国に対するもののみに限定されること等により厳格な管理が行われることを前提として、武器輸出三原則等によらないこととする。
 なお、政府としては、国連憲章を順守するとの平和国家としての基本理念は維持していく考えである。