E-mailシステムの刷新を

インターネットで利用されている電子メールシステムの「E-mail」ですが、スパム率が80%を超え(Symantecの2006年12月の月例報告)、詐欺やウイルス被害の温床にもなっています。またセキュリティーに対する意識が低い時代に設計されたこともあり、架空のメールを送信したり内容の盗聴や改変もできてしまいます。
現在、アメリカのYahoo!が開発しGoogleGmailなどに採用されている公開鍵方式のドメイン認証技術「DomainKeys」や、 Microsoft社の「Caller ID for E-Mail」技術とPobox.com社の創設者Meng Wong氏の「SPF」(Sender Policy Framework)を統合しSendmailなどで実装された商品が出ている、IPアドレスをリスト化する方式のドメイン認証技術「Sender ID」などもあります。これらの技術は本来のドメインとは無関係なサーバーから発信されるスパムは遮断できますが、普及していないので有効に利用されていないのが実情ですし、内容の改変や個人を偽装したなりすましには効力を発揮しません。逆に本文からスパムメールを判別するシステム作りが脚光を浴びています。
セキュリティーを重視するのであれば「S/MIME」という高い信頼性を持った方式があります。この方式では盗聴や送信者のなりすまし、改竄の全てを防ぐことができます。ただ「S/MIME」を利用するには『認証局』という所に『デジタル証明書』を発行してもらう必要があり、年に2,500円程度の費用が必要になります。送信者のなりすましと改竄を防止するためには、送信者だけが証明書を持っていればいいのですが、暗号化には受信者も証明書を持っている必要があります。証明書は1年ごとに再発行する必要があり暗号化されたメールは1年で読めなくなります。また現在の所、携帯電話を相手には利用できません。
無料で利用できるPGPという仕組みもあります。無料で利用できるものの、標準で対応しているメールソフトは少なく導入するには若干の手間がかかります。
現在のE-mailシステムはあまりに不合理です。そこで二つの方向性を考えてみました。
一つはE-mailを閉鎖的なシステムにして一元的に管理する方法です。mixiなどのSNSサービスで利用されているメールシステムのように、メールの転送を外部に任せない方法にします。ユーザーはサービスを提供しているシステムに直接つなぎ認証処理を行った後に暗号化された方式でデータをやり取りします。スパムメールの排除が簡単に行える反面、サービスの提供元に問題が発生した場合に影響が大きくなるのが欠点です。
もう一つは、メール取得時にデジタル証明書を発行し全てのメールを暗号化して送る方法です。最初から暗号化を意識してシステムを作れば、ユーザーは特に意識することなく利用できると思います。(暗号の強度と、公開鍵流出時の対応が問題ですが、ないよりかはマシだと思います。)この方法ではスパムメールの排除は期待できません。
…うーん、ありきたりな内容。