IPA、ストリーム暗号「Toyocrypt」の解読
2005年9月20日、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は世界で初めてストリーム暗号「Toyocrypt」の解読に成功したということです。ストリーム暗号とは、1bit〜数bitのデータを、暗号鍵から生成した疑似乱数で逐次暗号化していく方式の暗号で、無線通信などに利用されるということです。「Toyocrypt」については、理論的に解読が可能だとする研究が発表されていましたが、実際に解読されたのはこれが初めてだということです。
今回は、「代数的攻撃手法*1」という方法を用い、「代数的攻撃に用いる多次多変数連立方程式の解法 (グレブナー基底探索アルゴリズム)によるプログラム(「IPA-SMW」)」を開発し、IPAが所有する並列コンピュータ(グリッドコンピュータ)上で高速化および最適化を行ったところ、27分間での解読(暗号化に利用された鍵の算出)に成功したということです。報道によると、9月26日現在では約20秒台で解析できるということです。杉田誠研究員が解読対象の暗号に代数的攻撃法を適用し、アイビスの渡辺秀行氏とユーテン・ネットワークスの光成滋生氏*2がプログラムを組んだということです。
- http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000050480,20087578,00.htm?ref=rss
- http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20050926/221686/
- http://slashdot.jp/article.pl?sid=05/09/26/2059245&topic=28
なお、「Toyocrypt」は実際には利用されていないようで、暗号解読の影響は今のところ無いようですが、今後は今回開発されたソフトを利用して、現在利用されている暗号、Bluetoothに用いられる暗号「EO」や「電子政府推奨暗号」に含まれる128ビットブロック暗号「AES」の安全性評価を行っていく予定だということです。