Winnyウイルス、対策メールを送信へ

NHKの報道によりますと、テレコムアイザック(Telecom ISAC)は、P2P技術を利用したファイル共有ソフトWinny」を介して感染するコンピュータウイルス「Antinny」に感染したパソコンを4万台を特定し、プロバイダの協力を得て感染者にメールを送ることになったと言うことです。

NHKのWEBサイトより引用)
Winnyと呼ばれるソフトを介してパソコンから情報を流出させるコンピューターウイルスの被害が相次いでいますが、これまでに国内でウイルスに感染しているパソコン4万台が特定されました。プロバイダーなどで作る団体は、15日から利用者にウイルス対策を取るようメールを送り始めました。
Winnyは、利用者どうしが文書や画像などをインターネット上で公開し、互いに交換するためのソフトですが、パソコンが特定のウイルスに感染すると、意図していないファイルも勝手に公開され、情報の流出が相次いでいます。ウイルスの中には、情報を流出させると同時に、特定のコンピューターに大量のデータを送りつけて通信を阻害するものがあることから、被害届を受けて、インターネット・プロバイダーなどで作る業界団体「TelecomISAC」(テレコム・アイザック)が調査を行いました。その結果、これまでに国内でウイルスに感染しているパソコンおよそ4万台が特定され、業界団体では、被害の拡大を防ぐには早急の対応が必要だとして、利用者に対しウイルス対策を取るようメールを送り始めました。メールでは、「TelecomISAC」のサイトの中にウイルス対策の専用のホームページを立ち上げたことを紹介し、画面の案内に従ってウイルスを駆除するよう求めています。

実際にニュースリリースを確認すると、「Antinny」に感染したために、ACCSホームページをDoS攻撃を行っている端末を4万件確認したに過ぎないようです。現在ウイルス対策ソフトのメーカーが「Antinny」として情報を公開しているウイルスには複数の亜種があり、ACCSに攻撃を行っているのは「Antinny.G」(キンタマウイルス)という亜種です。
今回の件に関連してか、安倍官房長官は「パソコンでWinnyを使わないように」と国民に呼びかけました。国や地方自治体の情報が流失していることもありますが、特定のソフトを利用しないようにと国民に訴えるのは珍しいことだと思います。…初めてでしょうか?

安倍晋三官房長官「政府機関としては再発防止のためのあらゆる対策を進めている。しかし、国民一人一人に注意していただき、対策を取ってもらわなければ被害を防ぐことはできない。最も確実な対策はパソコンでウィニーを使わないことであり、私から国民にお願いしたい」

内閣官房情報セキュリティセンターも文章を出して注意を呼びかけています。

近時、ファイル交換ソフトウェアWinnyでやりとりされるファイルを介して感染するコンピュータウイルス(Antinny)により、政府機関や企業が扱う業務資料や個人情報、さらには、パソコン利用者本人のプライバシー等に関する情報が、家庭のパソコンなどから流出する事案が多発しています。
 Antinnyは、利用者がそれと気付かずに、あるいは安全であると勘違いしてウイルスに感染するよう巧みに仕組まれており、現状ではAntinnyによる被害を防ぐための技術的に完全な対策はありません。そのため、Winnyを使用している限り、情報流出の危険を避けることはできません。そこで、インターネットを利用する皆様におかれましては、下記のとおりWinnyの危険性を認識し、適切に対応して頂きますようお願い申し上げます。
(以下省略…内閣官房情報セキュリティセンターのWEBサイトより引用)

でも、実際に問題になっているのは、ほとんど自衛隊とか警察の資料や名簿の流出であり、官房長官が一フリーソフトの使用云々言うのって、ちょっと違うのではないかとも思います。Winnyについては、使用方法や流出した情報が消せない仕組みに問題があるのは明かで改善の必要はありますが*1P2Pソフトの今後を考えた場合には、Winnyは非常に成功した優れたソフトであり、他の分野へ技術を転用すれば、どれ程の功績があるか想像できないほどです。
セキュリティーについて、何の知識も持たない国や自治体の職員が、対策を怠ったり利用法を誤って情報を流出させたからといって、ソフトのせいにするのはお門違いもいいところで、国や地方自治体には、もっと情報技術を学んでもらって、どの様に活用するのがよいか考えて欲しいと思います。
ちなみに、Winnyの開発者である東大助手(通称「47氏*2」)は、ウイルス対策のための改良は簡単だとしていますが、現在、著作権法違反幇助の容疑で異例の逮捕をされ公判中で、コードが公開されていないWinnyの開発は中止されています。ただ、Winnyではゲームなどを公開して逮捕されている人が数人でており、現在の著作権制度から考えれば、著作権者が被っている被害も大変なもので、見せしめ的に逮捕された感じはしないではなくとも、やはり逮捕はある程度妥当のような気もします。
ちなみに、Winnyをお使いの方で気になる方は、こちらをどうぞ。Windows Updateを適切に実行していれば、自動的に駆除されるようです。
ところでTBS系バラエティー番組「さんまのスーパーからくりTV」では出演者ら540人分の個人情報が流出したと言うことです。マスコミが公表しなければ、そんなに流通しない仕組みなのですが、これで一気に流出してしまいます。困ったことです。

*1:管理者が特定のファイルを消すような仕組みを作るなど。

*2:恐らく日本最大の巨大掲示板群「2ちゃんねる」の「MXの次はなんなんだ?」スレッドで47番目のレスにて開発宣言を行ったことため