抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」10代への投与は原則「差し控え」

厚生労働省は2006年3月20日、異常行動との関係が指摘されている抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」について、輸入販売元の中外製薬に対し“10代の患者については原則として中止するよう医療機関に警告する(産経新聞)”よう指示しました。厚生労働省は今まで研究班の調査結果としてタミフル投与と異常行動には因果関係は確認できないとしていましたが事実上の方針転換です。これを受けて中外製薬では緊急安全性情報を配布、ハイリスク患者と判断される場合を除いては原則としてタミフルを服用しないよう呼びかけています。
タミフルはインフルエンザウイルスの増殖を防ぐ薬で、発症初期に服用すれば大きな効果があります。しかしタミフルを服用した10代の少年や少女が道に飛び出したり、建物から飛び降りたりして現在までに22人が異常行動を起こし、4人の死亡が確認されています。ただし、インフルエンザが原因ではないかと言われている「インフルエンザ脳症」という病気でも同様の異常行動を起こすほか、タミフルを服用した場合としていない場合で、異常行動に有意な差がないためにタミフルが原因であるかは分かっていません。タミフル服用後の異常行動で子どもを亡くした遺族らは年齢にかかわらず使用禁止にすべきだと訴えています。

なお、10代未満の子どもについては、インフルエンザで死亡するリスクが大きいために、特に使用は制限されません。また、専門家はタミフルの服用にかかわらず、インフルエンザ発症後は患者の様子に注意するよう呼びかけています。