銃撃立てこもり事件でSAT隊員死亡

2007年5月17日午後3時45分頃、愛知県長久手町にある民家から「父親が拳銃を持って暴れている」という110番通報があり、家にいた長男(25歳)と次女(21歳)、それに駆けつけた長久手交番に勤務する警察官(巡査部長・54歳)が銃撃されて怪我をする事件がありました。元暴力団員の大林久人容疑者(50歳)は妻とみられる女性を人質に家に立てこもりました。長男と次女はすぐに病院で手当を受け、命に別状はありませんでしたが、巡査部長は玄関先で身動きが取れなくなり午後6時過ぎには無線での応答にも答えなくなったと言うことです。現場から半径300メートルは警察により封鎖され機動隊が投入されました。現場付近は学校も多い住宅街で、翌18日には近隣の学校は休校になっています。
午後9時23分頃、巡査部長を救出するために警察が事件現場に近づいた際、現場から7〜8メートル離れた捜査車両の影で警戒をしていた愛知県警の機動隊員、林一歩巡査部長(23歳)が容疑者からの銃撃を受けました。林一歩巡査部長は防弾チョッキを付けていたものの、左鎖骨付近から被弾し、2007年5月18日午前0時14分に出血による死亡が確認されました。林一歩巡査部長は機動隊の特殊部隊「SAT(特殊急襲部隊/Special Assault Team)」の隊員で、警察学校を同期124人のうち首席で卒業、2002年4月に愛知県警に採用されて警察官6年目、一宮署勤務を経て2005年4月に愛知県警本部機動隊に異動し、2005年10月にSATに配属されました。将来を嘱望される優秀な人物だったそうです。巡査部長には24歳の妻がおり、昨年の2006年7月には長女が生まれたばかりだったと言うことです。出動現場でSAT隊員が殉職したのは1977年の設立以来(愛知県警のSATは1996年設立)初めてだと言うことです。犯行現場の玄関先で動けなくなり夜になって救助された巡査部長(54歳)は銃弾が首を貫通する重傷です。

林一歩巡査部長の父「危険なこともあるので、警察官の仕事に不安がなかったと言ったらうそになる。ただ、他人を助けるのが職務なので、身内が助かったのは良かった。ご苦労さまといってあげたい」(産経新聞より引用)「まだ事件が解決しておらず、何と言ったらいいのか分からない」「家に来た時は職務上、仕事の話はほとんどしなかった。SATになったのも事件で知った」「機動隊となればこういう事件もあり得るが、まさか一歩が……という思い。志願した仕事だったので、ご苦労さまと言ってあげたい」(毎日新聞より引用)

現場周辺の地図

2007年5月18日午後2時51分、人質にされていた容疑者の元妻(50歳)が自力で逃げ出し保護されました。軽傷を負っていますが大きな怪我などはないようです。
午後8時30分過ぎに大林久人容疑者が、両手を挙げて立てこもっていた家から出てきました。携帯電話で7分ほど通話した後、警察に確保されました。9時15分現在、確保された大林容疑者を愛知警察署に送る車両をNHKが中継しています。