自民党憲法改正大綱の原案

来月にもまとめられる、自民党憲法調査会憲法改正大綱の「原案」の内容が判明しました。

現行の憲法との大きな変更点(現行の憲法)

  • 天皇は日本国の元首(日本国の象徴)
  • 国旗は日章旗、国歌は君が代(特に定めていない)
  • 女性天皇(特に定めていないが、皇室典範では認めていない)
  • 首相の国家緊急事態布告(なし)
  • 自衛軍設置(軍隊は認めない)
  • 国際貢献のための武力行使(認めない)
  • 国民に国家の独立と安全を守る責務(なし)
  • 国民に国家緊急事態の際、国や地方自治体などに協力する義務(なし)
  • 集団的自衛権の行使(解釈により認めない)
  • 徴兵制を明確に禁止(軍隊がないので必要ない)
  • 「出版及び映像に関する規制を法律で定める」
  • 名誉権(明記されていないが、法律で認められている)
  • プライバシー権(明記されていないが、法律で認められている)
  • 肖像権(明記されていないが、法律で認められている)
  • 知る権利(明記されていないが、法律で認められている)
  • 犯罪被害者の権利(なし)
  • 衆院の優越性を強化(若干優越)
  • 参院議員は閣僚になれない(なし)
  • 憲法裁判所の新設(なし)
  • 憲法改正要件の緩和(厳しい)
  • 道州制導入(なし)

新しい権利については、法律で認められているものの、憲法で認められることの意義はそれなりに大きいと思います。憲法裁判所を設置するのも、その意義はよく分かりませんが悪いことではないと思います。それ以外は、どうでしょう。女性の天皇については、皇室典範の改正で対応できますし、わざわざ憲法で定めるところではないような気がします。天皇を国家の元首とするために明示的に規定しておこうということなのでしょうが、世襲制天皇が国家の元首である必要が民主主義の世の中の、どこにありましょうか?首相が国家緊急事態布告を行った場合、「基本的な権利、自由」が制限されるというのもあります。どういう事態を想定しているのか分かりませんが、その様な権限を首相に与えるのに、どんな意味があるのでしょう。
自衛軍には積極的に反対はしませんし、自衛軍設立に先立って徴兵制度を禁止するのは良いことだともいます。しかし、集団的自衛権国際貢献のための武力行使には反対です。国際貢献のために武力を行使するというのは詭弁でしょう。集団的自衛権も、名前こそ「自衛権」ですが、他国に攻撃を加えていくのですから自衛とは言わないと思います。
全体的に見て、天皇元首・国家統制的な色合いが濃く、国民に認められる権利には大きな拡張が無く制限ばかりが増える、実につまらない憲法だと思います。権力で私腹を肥やしている政治家により多くの権力を与え、国際貢献の名の下に自国や他国の利益のために武力を用いて侵略行為を行うことの、どこに意味を見いだせばよいのでしょうか。
ところで、「出版及び映像に関する規制を法律で定める」って何?表現の自由は撤廃ですか?青少年有害社会環境対策基本法制定・表現規制強化の布石ですか?