「人は死んでも生き返る」中学2年生の18.5%

人は生き返るか?グラフ

調査結果(最も生き返ると解答した人が多かった中学2年生)

  • 【緑】生き返らない 957名(81.5%)
  • 生き返る 217名(18.4%)
    • 【青】テレビで見た 81名(6.8%)
    • 【黄】本で見た、人に聞いた 56名(4.7%)
    • 【赤】ゲーム 11名(0.9%)
    • 【紺】その他 27名(2.2%)
    • 【白】無回答 42名(3.5%)

長崎県教育委員会佐世保市での小学6年生の同級生刺殺事件を受けて、小学4・6年生と中学2年生の合わせて3,611名を対象に『 児童生徒の「生と死」のイメージに関する意識調査』を昨年の11月から12月にかけて行い、昨日24日集計結果を発表しました。
その結果「死んだ人が生き返ると思いますか。」という設問に「はい」と答えた児童生徒は、小学4年生で14.7%、6年生で13.1%、中学2年生で18.5%でした。中学生(1,174人中「生き返る」と答えた217人、そのうち以下の問いに回答したのが175名)が、生き返ると思った理由は次の通りです(4択)。数値は全部概数(正確な数値が公表されていないため)。

  • (1)テレビや映画を見て 46.3%(81人…全体の7%)
  • (2)本やテレビ、人の話で聞いて 32.0%(56人…全体の5%)
  • (3)ゲームでリセットできるから 6.3%(11人…全体の0.9%)
  • (4)その他 15.4%(27人…全体の2%)
    • (集計結果の原文ママ。)
    • 人は心臓が一度止まっても、ショックを与える治療等によって生き返ることがあるから。
    • 医学が発達すれば人は死んでも生き返ることができると思うから。
    • 人は死んでも心の中に生きていると思うから。
    • 人は死んでも生き返ってほしいと思うから。
    • 人が生き返るというのとは違うと思うが、技術が発達すれば、血液や細胞からクローンできると思うから。
    • 幽霊が生き返ると思うから。
    • 人は死んでも他の動物に生まれ変わると思うから。
    • 人の魂は死んでいないと思うから。
    • 人は生まれ変わることができると思うから。
    • 人は死んでも生きるのではないかと思うから。
    • 亡くなった人に似ている赤ちゃんが生まれてくるら。
    • 愛があれば、死んだ人が生き返ると思うから。

(3)を答えさせようと、誘導しているのが良い感じです。結果、100人に一人が2択+4択問題で「ゲームでリセットできるから人は生き返ります」と答えるということがわかりました。あほな調査をしていないで、まじめに子どものことを考えてくださいね。本当に。
この調査では、生き返るとした理由が主に次のような理由であることがわかります。*1

  • 思想・宗教的な伝聞情報
    • どこかで生きていて欲しいとする希望的な考え
    • キリスト復活や輪廻転生を解く宗教
  • 医学用語の定義上の話(除細動や冷凍保存、クローンなど)

次に、その様な思想や宗教的な考えを得る主たる要因はテレビや映画などのメディアであるということがわかります。このことは、特に年齢を重ねる毎に「生き返る」とする割合が増えてくることからも立証できます。(小学4年生では14.7%、小学6年生では13.1%、中学2年生では18.5%。)
Yahoo!ニュース - 長崎小6女児殺害事件
Yahoo!Japan 読売新聞での記事
児童生徒の「生と死」のイメージに関する意識調査について(長崎県庁)
死んだ動物が生き返ると答えた人の答えにこの様なものがありました。

  • 飼っていた犬が死んで新しく犬を飼おうとした時、その犬が死んだ犬の生まれ変わりのように思ったから。
  • 生き返ってほしい犬がいるから。
  • 動物が死んだら悲しいから。
  • 魂はずっと心の中にあって生き返ると思うから。

いずれも小学生の回答ですが、この様な事をいう子どもに対して「あなたの考えは間違っています」というのは、むしろ命を軽んじる発言に思えてなりません。

今回の話題に触れているはてなダイアリーリスト(気付いた分だけ)

↑だぶっていたらご免なさい。他の方のご意見を読んだ感想

  • 調査結果を良く読まずにゲームが悪いとおっしゃる方多数。
  • 「生き返ると答えた中で『リセットできるから』と答えた人の割合」と「全体の中で『リセットできるから』と答えた人の割合」を勘違いされている方多数
    • マスゴミがあんまりひどいので書きますけれど、母集団3,611人のうち、生き返ると回答したのは15.4%の556人、そのうち理由を聞けたのが503人で、その中で「ゲームが原因」と答えたのが、7.2%の36人。これは全体の1%にすぎません。
  • アンケートに懐疑的な方多数

調査結果を素直に読むなら、子どもに命の大切さを教えるためには、映画やテレビに子どもを近づけさせない対策が必要でありましょう。次に本や他人との関わりは出来るだけ絶つべきです。次に身近に多くの人が生まれ、死ぬ場所へ子どもを集めましょう。そうすれば、命の大切さをよく心得た子どもになるはずです。次に、刑法の少年の扱いについて知っている子どもが約半数であったので、刑罰の恐ろしさを子どもによく問い聞かせるべきです。…そんな、調査でした。
ところで、ゲームが「死への認識」へ、どのような影響を与えるか確認するためには、ゲームをしている人としていない人をそれぞれ調査して、その差を見る方法があります。先日公表されたお茶の水女子大の坂元章教授らのグループ研究によりますと、暴力描写の程度が高いゲームで暴力性が低下することが確認されています。逆にヒーローもののゲームをやった人の暴力性が高まっており、ゲーム中の「暴力行為の正当性」が攻撃性に影響することがわかっています。ゲームの「死への認識」への影響を知るためには、同じような調査が必要でしょう。

*1:わかりません。この調査資料だけではわかりっこありません。指摘がありましたので書きますと、これは全体の2%の「人が生き返る理由−その他」と答えた人の意見であり、大部分を占める「テレビや映画」「本や人」と答えた人の意見ではないからです。