「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会中間取りまとめ」
内閣府の青少年育成推進本部がまとめた、若者の包括的な自立支援方策に関する検討会の中間とりまとめ(要は、ニートの就職応援プログラム)ですが、現在意見募集中です。
http://www8.cao.go.jp/youth/iken/jiritu.html
このまとめでは、若者が自律できない問題の原因を次のように指摘。
- 若者の意欲の欠如
- コミュニケーション能力等対人関係を築く能力の不足等
- 自分の将来についてのビジョンを持てない
- 仕事や人間関係に対する忍耐力が低下
- 「ニート」が家庭にひきこもる"余裕"ができたという見方もある
- (本人の意欲とは別の原因によると考えられる者もいることに"留意")
これに対し、次のように解決を図ればよいのではないかとしています。
- 地域の大人との出会いを経験させる
- 民主主義や社会の構成員としての役割を果たすことの重要性について理解させる
- 人間関係を築く能力等のつまずきを早期に発見し、サポートする
- 職業訓練を受けるための貸付制度の導入等
- NPOの役割を重視し、支援策を充実
「検討会のまとめ」とはいえ、どうも主観的で実態を従えず的を射ていない意見が多いような気がします。また、「中間まとめ」の段階で具体案を出せない事情もあるのと思いますが、対策案として「家庭環境の改善」「地域関係はNPO」「就職関係は諸機関の連携」としか示されていない点が疑問です。…実際には細かい所で、いろいろと触れていますが疑問に思った所だけクローズアップして見てみました。
方向性として、「若者に社会の一員としての十分な位置付けが与えられておらず、その力の発揮が阻まれている」ので、問題は「対応を欠く社会の側にあ」り「自立の問題の背景にある社会的・経済的格差にも目を向ける必要がある」。従って…、という事に触れているのは良い傾向だと思います。(上に引用した「」内の文章について、いずれでも文末が「…ではないか」と曖昧になっている点が解せませんが。…何のための検討会ですか?という感じ。「…である」と、とりあえずでも仮定しておかないと検討する価値がないと思うのですが。)今後も、良い方向になるように努めて欲しいと思います。
もし宜しければ、総務省までご意見をどうぞ。
中間まとめのまとめ(ではないか?必要である。などの記述は削った)
- 社会の問題
- 厳しい雇用情勢
- 若者に社会の一員としての十分な位置付けが与えられておらず、その力の発揮が阻まれている
- 若者の自立のための環境整備や社会的サポートが必要となっているにもかかわらず、それへの対応を欠く
- 社会的・経済的格差
- 若者が教育を受けず仕事もしない状態に放っておかれてはならないという社会的合意に乏しく、たとえ問題があってもその解決を家庭だけにまかせてしまいがち
- 貧困等家庭の状況からくる問題や地域の産業衰退等本人の意欲とは別の原因によると考えられる
- 社会の成熟によりいわゆる「ニート」が家庭にひきこもる余裕ができた
- 若者の問題
- 社会的自立の遅れ
- 社会とのつながりを失い社会的に孤立した若者
- フリーターや無業の若者、ひきこもり
- 個人としての力が不足
- 自分の力で物事の選択ができない
- 厳しい就職状況や学校・家庭と職場における価値観のギャップを前に立ちすくんでしまう
- 自分の将来についてのビジョンを持てない
- 仕事や人間関係に対する忍耐力が低下してい
- コミュニケーション能力の不足等から人間関係を築いたり修復したりする力が弱い
- 体験の不足から職業イメージがサービス産業などに限定されていて、様々な職業に対する自らの興味に気付いていない
- 目的
- 社会の一員として自立した生活を送る
- 若者が就業
- 親の保護から離れ
- 公共へ参画
- 方針
- 若者の自立に価値を認め、社会的な目標としていく
- 若者自身が社会で価値をつくり出していく意欲を持ち、自立を目指すよう動機付けを行う
- 社会に参加する権利があることを社会が認識し、支援する
- 対策
- 国の最重要課題の一つとして若者政策を位置付け、教育・生涯学習・就労・社会保障--家族・健康医療その他に関する包括的な自立支援方策を全政府的に推進
- 若者が教育を受けず仕事もしない状態に放っておかれてはならず、その自立支援に向けた取組が必要であるという社会的コンセンサスを形成する必要があり、
- 国や地方自治体、企業、民間団体等が協同すべきであるというコンセンサスをつくり出す
- 欧米諸国の若者のための施策が、カウンセリングなど個人を対象とした手法へとシフトしており、参考とする
- 発達段階に応じた取組を推進すべき
- ではないか。また、卒業・中退等にも、社会が積極的に支援し、フォローしていくべきで
- 「ニート」やひきこもりも、再度教育や職業訓練を受け、自立に向けて立ち直ることができるような、やり直しのきく社会システムを構築していく
- 個々の若者の状態を十分に把握し、個人ベースで自立のための包括的・継続的な支援を行うことのできる体制を整備
- 英国で導入されているコネクションズ・サービスなども参考に、各分野の専門支援機関等が連携した相談・支援体制の整備を図る
- 保健・医療機関等の専門家による心理面でのサポートを必要とすることが多いが、このような若者と専門家の間をつなぐようNPOが関わる
- 多様な職業観を持たせ、自らの能力や興味に合った職業を選択することを支援する
- 農業やものづくりを始め多様な就労体験やその他の社会体験を積ませる取組を推進
- これらの取組に加え、幼少期からの中長期的な取組によりいわゆる「ニート」の状態に陥ることを防止
- 青少年の自立に大きな影響を与える親・家庭への支援
- 両性が親としての役割を果たすことができるようにするための企業を含めた社会全体の取組
- 子育て支援の充実や、男女の働き方や家庭における役割の見直し
- 若い家庭や困難を抱える家庭への支援
- 自立に向けた教育
- 幼少の頃から子どもに自分のことは自分でさせ、家庭の中で一定の役割を果たさせ
- 親自身が子どもの自立はすなわち親自身の自立であると認識し、子離れの時期についての明確なイメージを思春期段階の子どもと共有
- 住宅面でのサポートや、独立資金の貸付など、自立に向けた多様な側面からの支援
- 学校と社会とのつながりの中で体験活動を行わせる
- 中学校くらいの段階からある程度長期間の体験活動を行い、地域の大人との出会いを経験させる
- 社会の仕組みやそこで生きていくための知識と技能についての教育(シチズンシップ教育)を充実
- 若者に高校卒業段階を目標に権利義務の行使ができるよう現実的な能力を身に付けさせ
- 社会保障や雇用関係の制度などの社会的な仕組みをしっかり教える
- 民主主義や社会の構成員としての役割を果たすことの重要性について理解させる
- 学業における児童・生徒のつまずきを早期に発見し、サポートする
- 学校において個人ベースで継続的にサポートする体制
- 非正規雇用型の労働者である者も含め、若者が自分自身で将来を見据え、意識的にキャリア形成を行うことができるよう支援
- 職業訓練を受けるための貸付制度の導入等
- 若者が多様な職業観を持ちチャレンジすることを支援
- 若者一人一人の向き不向きや能力を見極めて仕事とマッチングしたりする
- 就労支援に向けた政府の様々な施策を、国民的な理解を図るとともに、これらの施策を若者の視点から評価しつつ改善していく
- まちづくりなど地域における様々なプログラムへの若者の参画
- NPOの役割を重視し、支援策を充実していく
- 自立支援のためにコミュニティが協力していくための仕組みをつくる
- 地域の企業やNPOの協力が不可欠
- 若者が長期ボランティア活動やNPO等の活動に取り組むための支援
- 地域の人々が若者のためにいわば「おせっかい」を焼き、その自立を支援していく
- 国レベルのみならず、身近な地方自治体レベルにおいて自立支援を重要課題として位置付け
- 若者に関する協議会等の場でその地域の実状に応じた自立支援計画を策定
- 諸施策を包括的に推進
- 政府の政策・方針や各種機関の意思決定過程に若者の参画を促進