日韓首脳会談開催
本日午後、韓国ソウルにある大統領官邸「青瓦台」で日本の小泉純一郎内閣総理大臣と韓国の盧武鉉大統領が約2時間の会談を行いました。会談は年に2回、お互いの国で行われているもので、前回の日韓首脳会談は昨年12月に鹿児島県指宿市で行われています。今回の会談後は、竹島問題など日韓関係悪化後、初めての会談となり、記者会見は行われず、共同記者発表の映像は韓国のKBSが撮影したものが日本のメディアに提供される形になりました。青瓦台内では海外メディアの生中継は行った前例がないためだと言うことです。会談の内容は以下の通りです。
- 意見の一致・合意
- 韓国側の要請
- その他
- 議題に登らなかったもの
- 竹島問題(独島問題)
会談後、両首相が記者団に語った内容は次の通り。互いに、難しい会談だったことがわかります。
小泉総理大臣「(新たな追悼施設について)懇談会の提言を受けているが、将来どういう施設ができるか定かではない。提言を踏まえ、いろんな意見が出てくるだろうから、建設するかどうかを含めて検討する。日本自身が考えることで、言われて考えるものじゃない。官房長官のところで検討、いいと思う。仮にできても靖国神社はなくなるわけじゃない。混同、誤解が多い。」「北朝鮮の出方、アメリカの対応、日韓の対応など、いろんな率直な意見交わした。話した感じでは、6カ国協議は開かれるだろう。協議で合意することが北にとって利益になるだろうと。日米韓それぞれ事情が違う。違いがあってもおかしくない。しかし、平和的解決を望むということでは、完全に一致している。」
盧大統領「率直に話し合い、一部共感もあったが、合意に達することはできなかった」「交流と協力を強化することだけで未来の平和が保証されるとは言いにくい」「未来の安全と平和を鮮明に保証するためには外交的、政治的枠組みを制度化し、その次に両国の間にある過去史認識を整理し、和解できる措置が必要だ」「首相の説明を聞いても、我々には過去を正当化するものに聞こえる」「(扶桑社の歴史教科書について)自民党の核心勢力が採択率を上げるために支援しているとの報道がある」
靖国神社参拝について各党の発言
民主党・岡田代表「新たな追悼施設は作るべきだが、外国の首脳に言うことではなく、政府が自ら考えて結論を出す問題だ。外交上のカードとして使ったことには疑念を持たざるを得ない。また、小泉総理大臣は、建設について抽象的な表現をしており、結論が出ないまま総理大臣の任期を終えると、さらに不信感を増幅させることになる」
社民党・又市幹事長「新たな追悼施設は、3年前、当時の福田官房長官の私的な懇談会が提言したが、小泉総理大臣は、これを無視して靖国神社への参拝を継続し、今になって施設の建設の検討に言及することは、ご都合主義と受け止められてもしかたがない」
連立与党の公明党と、野党の共産党ではそろって、追悼施設の建設に賛成しています。
小泉総理大臣が、どうやって靖国神社参拝を「過去の戦争を美化したものでない」と説明し参拝の合理性を納得させるか、手腕が問われたわけですが、結局は今までと同じ主張をくり返すに留まりました。新たな追悼施設についても、会談後の記者団への話で逆に靖国神社に代わる施設はない…と、韓国の感情を逆撫でするような発言をして、微妙な問題を、更に微妙な方向へ持っていって仕舞いました。これは、正直、どうなのかと思いました。首相は、問題を大きくせずに参拝を続ける道を模索するか、新たな追悼施設を作った場合どうすれば遺族を納得してもらえるか考えるべきだと思います。
歴史認識と教科書の問題では、日本の教科書制度では研究成果を内容に反映させることを強制できないことについて、韓国が「国が価値観を教えるのは当然で、到底理解できない」と不快感をあらわにしていました。これについては、教科書検定で竹島問題で領有権に関する記述を変更したことがある日本政府ではありますが、韓国の言い分にも無理があるように感じます。問題は、扶桑社の歴史教科書で、特に自民党勢力が支援しているとか、そういう情報が韓国でまことしやかに語られていることですが、韓国の取り方が、ややオーバーな気もします。
今、韓国では言われもない日本バッシングも多いようで…、うまく関係が改善されることを願っています。