小学校における英語の必修化について

中央教育審議会・外国語専門部会が小学校での英語必修化を提言したのをうけ、文部科学省は2006年度改定の学習指導要領に必修化を盛り込む見通しです。

小坂憲次文部科学大臣日本語教育に代えて、英語ですべてのものを考える教育をするつもりはない」「日本語をしっかり勉強するのはとても重要」「柔軟な頭脳を持っている小学校児童が英語活動を通じ英語に親しんでいる。中教審のように一歩進めるのは決して否定すべきことではない」
石原慎太郎東京都知事「日本で一番バカな役所は文部省。あれはまったくナンセンスだ」「日本人がものごとを考えるのは、やっぱり日本語で考えざるをえない。日本語のもたらす語感、日本人独特の感性、情緒を皆さんが持たなければいけない」「ナショナルがないものは決してインターナショナルになるわけがない」

根本的な問題として「英語が話せる必要があるのか」というのがあると思います。それは、話せるのと話せないとの比べれば、話せた方が便利に決まっています。しかし、自分自身の経験として、英語が話せなくて困ったことはありませんし、話せて良かったと思ったこともありません。
逆に小学生に英語を習わせて本当に効果があるのかという問題もあります。例えば子どもの頃にアメリカで暮らして英語がぺらぺらだった人が、中高と日本で暮らしていると英語が話せなくなっていたという話も多々あると聞いていますし、現在行われている中学・高校の英語の授業についても、必ずしも効率の良いものではないと思います。(言語の学習については数をこなすことが習得の近道だと思うのです。現在は、同じ例文を何度も読ませて構文を暗記させることに重点を置いていますが、この学習方法は、すぐに忘れてしまうし受験対策以外には意味をなさないと思います。)子どもの頃から英語の塾に入ったり、最近では総合的な学習の時間で英語を教えている学校も多いと聞きますが、実際にどれ程の効果が上がっているでしょうか?
英語教育の必修化に反対する人からは「国語を」という意見が強いようですが、別に国語の時間を減らして英語を勉強させるわけではないので、この批判はあたらないと思います。英語教育に効果があり、教育が期待されているのだったら、必修化も当然でしょう。ただ、今回の必修化は意図がよく見えないので心配です。

中教審外国語専門部会審議報告の要旨
【現状と課題】
一、外国語教育は学校教育において国家戦略として取り組むべき課題
一、保護者や行政関係者も必修化について積極的な回答をしている
一、次世代を担う子どもたちに国際的な視野を持ったコミュニケーション能力を育成する
一、90%を超える小学校で英語学習が行われているが、活動の内容には相当のばらつきがある
一、中学入学時に共通の基盤が持てるよう、必要な教育内容を提供することが求められる
【国語力との関係】
一、異なる言語に触れることで、国語力の向上にも相乗的に資するような教育内容を組み立てる
【教育内容】
一、異文化理解だけでなく、国語やわが国の文化にも理解を深めることができる内容とする
【教育条件】
一、当面は学級担任と外国語指導助手(ALT)等とのティーム・ティーチングを基本とする
一、国がテキスト、教員用指導資料を作成し、情報コミュニケーション技術(ICT)も積極的に活用
【教育課程】
一、高学年では、中学との円滑な接続を図る観点から週1時間程度共通の教育内容を設定する
一、中学年と低学年は特別活動、総合的な学習の時間での充実を図る
一、実施時期は教育課程部会で検討する