イラク・旧フセイン政権とアルカイダ、関係なし

2001年9月11日にイスラム原理主義のテロ組織アルカイダ(アルカーイダ)によってアメリカン航空ユナイテッド航空の旅客機計4機がハイジャックされ、2機がニューヨークの世界貿易センタービルワールド・トレード・センター/通称:ツインタワー)の北棟と南棟に、1機がアメリカ国防総省本庁舎(通称:ペンタゴン)に衝突、もう1機が墜落し、旅客機の乗員乗客246人・国防総省で犠牲になった125人・世界貿易センタービルで犠牲になった2602人の、合わせておよそ3,000人が亡くなるという大惨事「アメリカ同時多発テロ事件(9.11テロ)」が起きました。


これを受けて『テロとの戦い対テロ戦争)』を標榜したアメリカは、アルカイダを擁護しアフガニスタンを実効支配していたイスラム原理主義政権タリバン(ターリバーン)をアフガニスタンから排除するため、2001年10月7日にアフガニスタンへ侵攻を開始、12月にはタリバンの拠点を制圧しました。


次いでアメリカは、アルカイダとの関係があるとされ、大量破壊兵器を持っているとされたイラクに、2003年3月19日開戦を宣告しました。この時イギリスのブレア首相と、日本の小泉首相は、アメリカの武力行使を支持すると表明しました。後に日本は、イラク特措法*1に基づき、陸上自衛隊を人道復興支援活動の目的で派遣し、航空自衛隊を物資・隊員などの輸送の目的で派遣しています。




イラク特措法で定められた自衛隊の活動できる「非戦闘地域」について『自衛隊の活動している所は非戦闘地域』と答えたり、大量破壊兵器が見つからないことについて『いずれ発見される。フセイン大統領が見つかっていないから、大統領が存在していなかったと言えますか』など、いわゆる「開き直りの答弁」に終始した小泉純一郎内閣総理大臣ですが、陸上自衛隊については現在までに無事任務を終え、大量破壊兵器については存在しなかったことが、ほぼ確定しました。

そして、イラクアルカイダとの関係ですが、アメリカ議会上院の情報特別委員会が「イラクの旧フセイン政権と国際テロ組織アルカイダとのつながりはなかった」とした報告書を2006年9月9日に公表。以前には超党派の独立調査委員会も「関係はなかった」とする結論を出しているということで、イラクの旧フセイン政権とイスラム原理主義のテロ組織アルカイダとの関係は、どうやら無かったようです。
報告書によれば、フセイン政権はアルカイダを政権への脅威と位置づけていたとし、アルカイダ幹部の拘束を試みていたとされています。

アメリカ同時多発テロ事件以前から続いているアメリカのブッシュ政権は、イラク・シリア・北朝鮮の3国を「悪の枢軸」として非難。テロとの戦いを標榜し、イスラム系のテロ組織に対し強硬な立場で望み、「米国はより安全になった」とする発言をくり返していますが、支持率は低調に推移しています。アメリカのイラク戦争を支持したイギリスのブレア首相は、脅威を誇張して国民を欺いていたとされ、イラク参戦への批判やイギリス国内で起きたテロ事件などの影響で支持率が低下し、与党内からも批判が出ているために、自ら辞任する意向を表明しています。対して日本国内ではイラク戦争は大きな話題には上らず、小泉純一郎首相の支持率は好調に推移し、今月の自民党総裁選挙で新しい総裁が誕生するのをもって首相の座から退くことになっています。

*1:イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法