教育基本法改正案が衆議院教育基本法特別委員会で可決

2006年11月15日、衆議院教育基本法特別委員会で野党が欠席する中、自由民主党自民党)・公明党の賛成多数で可決されました。民主党日本共産党共産党)・社会民主党社民党)・国民新党の野党4党は審議が不十分だとして採決に反対し欠席していました。現在、政府が地方で開いている行政説明会「タウンミーティング」で、政府側が質問者にお金を払った上で政府の方針に沿うような質問をさせていたことが問題になっているほか、各地の小中学校で自殺が起きて問題になっています。

この教育基本法案で気になる変更点をまとめてみました。

項目 現行法 改正案
前文 「真理と平和を希求する人間の育成」 「真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成」
前文 「普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造を目指す教育を普及徹底」 「伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進」
教育の目標 「学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によつて、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。」 「幅広い知識と教養」「真理を求める態度」「豊かな情操と道徳心」「健やかな身体」「個人の価値を尊重」「個人の価値の能力」「創造性」「自主及び自律の精神」「職業及び生活との関連」「勤労を重んずる態度」「正義と責任」「男女の平等」「自他の敬愛と協力」「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度」「生命を尊ぶ態度」「自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度」「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度」
生涯学習 なし 生涯学習社会の実現を義務化
教育の機会均等 経済的な理由で修学が困難な者に対して「奨学の方法を講じなければならない。」 「奨学の措置を講じなければならない。」障害者のへの支援を義務化、
義務教育 「九年の普通教育を受けさせる義務」 「別に法律で定める」義務教育の目的は「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うこと」国・地方自治体は義務教育の機会保障・水準確保の実施責任を負う
男女共学 削除
学校教育 学校は「学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。」
大学 なし 「学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するもの」「自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重」義務化
私立学校 なし 「国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興」義務化
家庭教育 なし 「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するもの」国・地方公共団体は保護者に「学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策」義務化
幼児期の教育 なし 国・地方公共団体に「幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興」義務化
学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力 なし 努めるものとする
宗教教育 「宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位」の尊重 「宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位」の尊重
教育行政 国に対し「教育に関する施策を総合的に策定し、実施」義務化、地方公共団体に「実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施」義務化、国・地方公共団体に「必要な財政上の措置」義務化
教育振興基本計画 なし 政府「教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表」義務化。地方公共団体は計画の施策に関する計画の策定を努力