パキスタンでイスラム過激派が籠城、軍の突入で多数の死者

パキスタンの首都イスラマバードにあるモスク「ラル・マスジッド/ラル・マスジード(赤いモスク)」と隣接するマドラサイスラム神学校)及び寮に、ラルマスジッド・モスクの指導者アブドル・ラシド・ガジ師と神学生らイスラム過激派が籠城した事件で、ムシャラフ大統領は2007年7月10日早朝、特殊部隊を強行突入させました。この突入で、指導者のガジ師が殺害されたほか、突入した特殊部隊員側も8人が死亡、さらに神学生ら過激派にも50人以上が死亡している模様です。
なお、籠城した神学生の中には、事実上の人質にされていた女性や子ども約500人いると報道されています。突入後、女性や子ども50人以上が脱出し、約50人の過激派が投稿したと言うことです。
今回の突入についてパキスタン国内ではマドラサの学生らを中心に大統領の対応を批判するデモが行われるなど批判の声が高まっています。逆にアメリカ政府はパキスタン政府の対応を擁護しています。



パキスタンパキスタン・イスラム共和国)は、インド、イラン、中国、アフガニスタンに面する国で、インド・旧ソビエトと敵対関係にあります。アメリカとは同盟関係、中国とも関係が深く、核兵器保有しているとされています。
1970年代、東西冷戦の際、アフガニスタンへ侵攻してきた旧ソビエトを牽制するために、アメリカはパキスタンの軍事政権を支援しました。この時、政治におけるイスラーム原理主義の影響が増大、マドラサにおいても原理主義的な教義が指導されるに至ったようです。
現在ではマドラサは、「テロの温床」と指摘され、パキスタンにある1万3千(一説には2万以上)のマドラサは、過激派がテロの訓練や過激思想を吹き込むのに利用されていると言われています。マドラサは旧ソビエト侵攻時、大統領から庇護され、イスラム兵士の供給源となっていました。

その後の報道で、脱出した少女らは人質ではなく、自らの意志で籠城していたことが伝えられています。犠牲者は百数人から数百人と報じられていますが、いずれも確実な根拠はないということです。

その後の報道で、突入はガジ師が降伏を合意した後に行われたということです。この合意は、閣僚や与党幹部とパキスタン神学校連盟幹部らとガジ氏が交渉した結果得られたものですが、大統領府はこれを受け入れなかったと言うことです。