文科省調査、小中学生の学力向上

文部科学省が2007年4月24日、公立のほぼ全て*1の小学6年生と中学3年生及び6割の私立中学校を対象として43年ぶりに行った「全国学力・学習状況調査(通称:全国学力テスト)」の結果が、2007年10月25日に明らかになりました。対象は約3万2700校、233万人で、小学校はベネッセコーポレーション、中学校はNTTデータが集計、約77億円の経費がかかりました。
その結果、日本の小中学生において、学力に地域差(都道府県や都市部・僻地などでの差)はほとんどありませんでした。唯一、沖縄県においては顕著に低い結果になりましたが、経済状態の悪さが影響していると考えられます。私立の小中学校で成績が高くなる傾向にありましたが、これは成績のよい学校だけが参加したためであるかもしれません。
また、基礎学力は概ね定着しているという結果が得られました。前回の調査と比べて、漢字の書き取りでは正答率が40ポイント以上、連立方程式の問題でも20ポイント近く正答率が上昇している問題もあり、学力は向上傾向にあります*2。(40年以上のブランクがあるので、その間には更に学力が上昇していた時期があったかも知れませんが、少なくとも40年前と比べれば上昇していると考えられます。)ただし、基礎的な問題に比べると、応用問題について正答率が低いという結果が出たので、応用力の育成が課題です。
なお、今回の調査の目的として文科省は教育機会均等の維持向上と、各学校に全国的なレベルを伝えることを掲げていましたが、地域差がほとんど無く、標準偏差も少ない傾向にあり(=ばらつきが少ない)、地理的な教育の機会均等という観点からは問題がないことが明らかになりました。ただ、経済状態が学習機会に与える影響が少なくないようですが、奨学金制度などもあり、それ以上のことについては文部科学省の管轄ではないと思われます(例えば給食の無償支給とか、奨学金以上の金銭給付制度などを創設するとかであれば文部科学省の管轄でしょうが、現時点では現実的ではないと考えます)。

*1:愛知県犬山市の14校が調査に反対して不参加

*2:過去の学力調査と同一の問題25問のうち22問で正答率が1-40ポイント上昇