地球シミュレータで地磁気を再現

海洋研究開発機構・横浜研究所にあるスーパーコンピュータ“地球シミュレータ”を利用して、地磁気を厳密に再現することに成功したと15日付のアメリカの科学雑誌「サイエンス」で発表されました。
高橋太・日本学術振興会特別研究員や本蔵義守・東京工業大教授らのグループが行ったもので、地球内部の鉄やニッケルでできた核で対流が起こることによって磁界が発生するというダイナモ理論ダイナモ説)を再現し、実際の観測結果と照らしながら、2年間のべ6500時間を使ってシミュレーションの計算を行ったということです。
今回のシミュレーションで次のようなことが分かったということです。

  • 地磁気の消滅は赤道付近にある地磁気の「むら」が南北に動くと起きる
  • 現在観測されているむらの動きは東西方向
  • 近年の地磁気の減少は一時的で、いずれは増加に転じる

本蔵義守・東京工業大教授「今回のシミュレーション結果によると、地磁気逆転の兆しではない」「今回の計算は地球シミュレータならではのもの。これで地磁気発生の仕組みが本当に再現できたことになる」

地磁気は、19世紀以降強さが1割ほど減少しており、この割合でいくと、1600〜2000年後には地磁気は消滅すると言われていました。また、地磁気が、どのように発生するのかは、現在までいくつかの説が提唱されていますが、確認はされていませんでした。
地球シミュレータでは、今年の2005年4月28日には海洋研究開発機構が赤道付近で入道雲が生まれる様子を正確に再現することに成功したと発表しています。