世論はA級戦犯分祀に傾いている?

太平洋戦争後、ポツダム宣言に則って開かれた極東国際軍事裁判東京裁判)で戦争犯罪人(戦犯)として有罪判決を受けた人のうち、「平和に対する罪」で有罪判決を受けた人をA級戦犯といいます。28人が起訴され、判決前に死亡したり精神障害が認められた3人を除く25人全員が有罪判決を受け、絞首刑になった7人と受刑中などに死亡した7人が、靖国神社に合祀されています。
今日の南日本新聞の朝刊は一面で、A級戦犯として処刑された東条英機元首相が「靖国神社に祀るのは戦役で直接死んだ人だけにせよ」という旨の命令を出してたようだ…という内容を報じていました。解説で、東条英機元首相などA級戦犯として靖国神社に祀られている人達は、この命令に反するので云々…と書いていました。
一方、毎日新聞では連絡したA級戦犯の遺族18人のうち、分祀に反対しているのは3人で、8人については分祀を受け入れると答えたと報じました。
日本遺族会の代表である古賀誠衆議院議員も、分祀に言及し始めました。
一方、来月にも行われる自由民主党自民党)の総裁選挙に立候補すると思われる麻生太郎外務大臣は、靖国神社に自主的に解散してもらって国営にしようという解決案をまとめたと報じられています。
個人的には神道の教義で分祀が認められないのであれば、永続的にA級戦犯も祀るのが道義だと思いますし、宗教法人を解体して国営にするというのは宗教分離が常識となっている現代社会においては常識を逸脱した行為だと思います。首相が靖国神社を参拝できないのは仕方のないことなので、個人として参拝して頂くか、新たな追悼施設を建てて、そちらに慰霊に行く以外にないと思います。天皇陛下靖国神社に参拝できない理由に、A級戦犯が祀られているということは当然ありますが、政治的な立場からいっても、やはり参拝できないでしょうから、憲法を改正して天皇陛下を政治に全く関与できない身分にするとか、個人的に参拝できるような抜け道を作るとか考えた方が良いのかも知れません。
そもそも、小泉総理大臣が中国や韓国から反感を買うような形で強行に参拝を続けたことが、問題をことさら大きくしたと思います。皇室典範改正で女系天皇を認めさせようとしたことからも、小泉総理には何らかの思惑があったのかも知れません。最近、A級戦犯の問題について東京裁判の無効性を主張したり、中国や韓国からの圧力について指摘する意見が多く、世論では「参拝を中止するなんてとんでもない」「分祀なんてとんでもない」という意見が主流だったわけですが、どうも流れが変わってきたように思います。
一番大切なのは、宗教としての神道の在り方と、遺族の感情だと思います。政治問題として解決されるのであれば、残念です。