有害物質を搭載したアメリカのスパイ衛星が制御不能に

アメリカのCNNテレビなどが報道しているところによりますと、アメリカのスパイ衛星が制御できない状態に陥り、2008年2〜3月頃に地球に衝突し、有害物質がばらまかれる恐れがあるということです。
通常、寿命を迎えた人工衛星は制御ができなくなる前に大気圏に低い角度で突入させ燃やすか、巨大な構造物については海に落下させます。今回のスパイ衛星については、燃え尽きることなく地表に落下する恐れがあり、どこに落下するか分からない上に、放射性物質などの大変危険な物質(報道では「有害物質」と言っているので憶測ですが)を搭載している恐れがあります。
朝日新聞の記事によれば、ニューヨークタイムスが専門家の見方として掲載した記事によると、問題の人工衛星は2006年12月に軌道に投入された直後から制御不能で、小型のバス程度の大きさ。匿名の政府当局者は有害物質を積んでいると話していますが、それは燃料や重金属(といっても非常に毒性の強いものだが)のことで、放射性物質ではないとみられるということです。
ちなみに、横浜こども科学館のWEBサイトによると、人工衛星の落下地点の予測は、大気密度の予測に10%程度の不確かさがあるため、高速で周回している人工衛星については、数分〜数時間前にならないと、どこに落ちてくるか分からないそうです(数分前でも、落ちる国が分かる程度だそうで)。



2008年2月15日(アメリカ時間の14日)にアメリ国防省が明らかにしたところによりますと、ヒドラジン約450kgを燃料として搭載し制御不能になっているスパイ衛星について、イージス艦から通常ミサイル(弾道ミサイル迎撃専用スタンダードミサイル・SM3)を発射し、衛星を粉砕する計画だと言うことです。中国では2007年1月11日に、衛星攻撃兵器(ASAT)の実験として気象衛星・風雲一号C型を破壊しており、数百から数千個のデブリを発生させたとして、アメリカなどから強い非難を浴びました。人工衛星が人口密集地に落ちて人的被害が発生する確率は低く、ミサイルの発射や衛星の破壊では多額の費用が必要な上に問題が発生する恐れも多いため、ミサイルを使って粉砕するというのはあまり好ましい方法ではなく、アメリカ以外の国に落ちたときに衛星に関する情報が流出することを恐れているのではないかという説や、人工衛星の迎撃能力を確認しようとしているのではないかとする見方もあります。