郵政民営化と広告戦略

2005年9月11日の衆議院議員選挙(俗に言う郵政解散郵政選挙)で、大手PR会社のプラップジャパン(http://www.prap.co.jp/)が活躍し自民党が勝利を収めたのは有名な話です。自民党勝利の一番の理由はもちろん、他党に魅力がなかったことでしょうけれども、「小泉劇場」などと呼ばれマスコミを上手く利用する手法は今までにないものでした。
その郵政民営化ですが、僕の住む鹿児島では早速集配局が32局減らされることになりました。特に離島では郵便物の到着が今までより3〜4日遅くなりそうな感じでサービスの低下が危惧されています。逆に都心部の郵便局について「数が多すぎる」とテレビに何度も紹介されていましたが、いずれも黒字局なので減ることはなく格差が広がっています。今後は地方の郵便局には廃止されるところも増えるでしょうし、郵便料金も値上げされることでしょう。他社の参入も未だなく、明るい話題は見あたりません。強いて言えば、日本郵政公社が今後赤字化しても、国の負担にならないということですが、旧国鉄(現在のJR)の例でいくと、結局借金は増大した上に国が払うことになりましたし、在来線は第三セクター化されて廃止が相次いでいますし、大きな事故も起こしています。民営化は時代の趨勢でありますし、電電公社(現在のNTT)や専売公社(現在のJT)のように失敗せずに民営化しているものもあります。(NTTについては現在も独占的な状態が続いており、日本の通信事業については健全に成長しているか怪しい感じもしますが、KDDIの活躍やソフトバンクの参入など今後に期待します。)先日民営化された日本道路公団(現在のNEXCO?)などは、民営化されて当然だったといえるでしょう。
で、郵政民営化の広告戦略ですが、面白い資料を見かけましたので紹介します。「テレビの罠」(ちくま新書/著・香山リカ*1)という本で紹介された資料だそうですが、キーワードは「B層」です。

郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略(案)

●ターゲット戦略

  • A層(IQ軸High、構造改革軸POSITIVE)
    • 財界勝ち組企業
    • 大学教授
    • マスメディア(TV)
    • 都市部ホワイトカラー
  • B層(IQ軸Low、構造改革軸POSITIVE)
    • 小泉内閣支持基盤
      • 主婦層&子供を中心
      • シルバー層
    • 具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層、内閣閣僚を支持する層
  • C層(IQ軸High、構造改革軸NEGATIVE)
  • 層の表示無し(IQ軸Low、構造改革軸NEGATIVE)
    • 既に(失業等の痛みにより、)構造改革に恐怖を覚えている層

B層にフォーカスした、徹底したラーニングプロモーションが必要と考える。
ちょうど衆院選前に熱出して病院に行ったのですが、そこで、お婆さんとお医者さんがしていた会話が印象的でした。お婆さんがまさにB層、先生はC層。もともと、こちらは自民党支持者が多く何もしなくても自民党が有利なのですが、お婆さんは、小泉総理と当時の岡田克也民主党代表を比べて、「岡田さんは嫌、小泉さんがいい」という広告通りの発言をし、先生は、地域格差や郵政の問題について話して…結局全然かみ合わないと。話にならないんですもの。すごく便利だと思いました、B層の人。(自分はというと、C層ではないだろうから、層の表示無しの人なんだろうな。)
現在、次期自民党総裁と目されている安倍官房長官は中国や韓国、北朝鮮に対し強硬な態度を取って人気を博しています。さて、次の自民党総裁はどういう手法で支持率を確保するのでしょうか。

*1:ぷちナショナリズムの人ですね

自分の思想について考えてみた

WWWの電子掲示板やブログではネット右翼ネットウヨ)やネット保守派と呼ばれる人達が主流です。個人的な見解ですが、彼らは一般的な日本的右翼とは異なり、天皇や皇族を特別視していないナショナリストです。靖国神社A級戦犯が合祀されていることについて昭和天皇が不快感を示していたことが明らかになったという報道で、「天皇のお言葉に従う」「A級戦犯は悪くない」「A級戦犯の合祀は遺族として当然の主張だ」などといった主張は行わず、「メモはマスコミの捏造だ」「天皇の発言など問題ではない」「中国や韓国の主張には屈しない」という反応をとっています。日本のナショナリズムは「国体」、即ち天皇を倫理的・精神的・政治的中心とする国の在り方を規範にしていますが、これとはまた異なる国粋主義的な思想です。先日テレビで「ぷちナショナリズム」という言葉を紹介していましたが、ぴったりの言葉だと思いました。
さて、で、自分ですが、国粋主義的な言動に若干の抵抗があります。象徴的なのは先のワールドカップでの日本人のサッカー応援や、ワールドベースボールクラシックでの野球の応援です。元来スポーツ観戦は好きではなく、今までテレビでスポーツを見たことはほとんど無かったのですが、話題性の強い物ですので、サッカーは1次の試合を全試合、ワールドベースボールクラシックはそれこそ最初から決勝まで全ての試合を生放送で観戦しました。…その時間にちょうど起きていた(サッカーの時には昼夜逆転生活だった)というのもありますが…。そこで、応援している人達がテレビの画面に映し出されたのですが「愛国心」を強調し、日本を愛しているからサッカーを応援する、野球を応援すると言ってるのです。野球やサッカーのチームは地域性が強く…例えば東京の人だったらジャイアンツを応援する…とか、そういう文化があることは存じています。自分が応援しているチームが勝てば面白いのも普通な感情でしょう。しかし、特にワールドベースボールクラシックの場合、韓国と試合を行った回数が多かったからかも知れませんが、試合とは関係のない所で韓国を非難するような意見を聞いたような気がしますし、サッカーでも不必要に「日本が、日本が」と言っていたように思います。靖国神社参拝問題についても、ようは中国や韓国が意見しているのが問題なのであって、それが無ければ小泉首相違憲行為だと言われながら参拝を続けることに共感する人も少なかったのではないでしょうか。
では、日本の伝統や文化が嫌いなのかといえば、そういうこともありません。例えば宗教について言えば日本発祥の神道が好きです。お正月にも神社にお参りします。ただ教派神道に入りたいとは思いません。仏教については正直苦手です。知っている人で無宗教でない人は、だいたい仏教徒を自称していますが、教義がイマイチ意味不明なのが苦手です。…自分も死ぬ時は仏教形式だとは思うのですが…。天皇制についても、日本のロイヤルファミリーとして尊敬しています。できればもっと自由な生活ができた方が良いのではないかとも思いますし、無ければないで構わないとも思っていますが、貴重な存在だとも思っています。ぷちナショナリズムの象徴とされる日本語ブームにも乗っかった口です(でも国語は苦手だ)。
でも「愛国心」という言葉は苦手です。戦前の全体主義を彷彿としてしまうからです。国は何のために存在するかと考えた時、個人ではできないことを国はすることができ、国民を守ることができるからだと考えます。その時、国が与える利益を享受することに感謝はしますし、自分を育てた国に対し特別な感情も湧くことでしょう。ただ、国が人の集まりである以上、自分の考えとは異なる判断をすることもあれば、著しい不利益を招くこともあります。そんな時に「愛国心」という言葉を免罪符として国が各人に負担を強いることが正しいのでしょうか。国民がより多くの利益を享受するために、相応の負担を強いられることは当然のことだと思いますが、それぞれが独立した主体であり、バランスが必要です。国が国民を愛することを表現する言葉が無いように「愛国心」という言葉も不要ではないでしょうか。(「売国奴」に対応する、国が国民を裏切ることを表現する言葉を作るのも、いいかもしれませんね。)
ちなみに共産主義(特にマルクス主義)も苦手です。特に暴力的な手段を利用して改革するという点は全く納得できるものではありませんし、ロシアや中国をみてイメージも悪いです。ただ、社会民主主義はわりと好きかも知れません。
…というわけで、やはり左翼的かな。というか、もろ左翼か。どういう育ち方したら、こうなったのかな…。

ネット右翼の間では「捏造」が定説に

…なりつつあるみたいです。今年初め、民主党永田寿康議員が出したいわゆる「永田メモ」に引っかけて、報道を誤報だと主張する意見が強いようです。
ところで、新しい追悼施設を作ったときにA級戦犯は含めたほうがいいのか、どうなのか考えていたのですが、よく考えたらA級戦犯戦没者じゃない(公務死など。死刑にならなかった人もいるし。)ので、そもそも含める必要は無いんですね。…問題は遺族心情ですね。

通信制度改革、郵便を廃止し全世帯に情報端末を

自分でも極端な考えだと思いますが、思いついたので書いてみます。
郵便制度は情報の伝達を今まで無かった速度に加速し、近代社会においては無くてはならない制度です。特に国や自治体からの通知や裁判の通知など、誤りが絶対に認められない通知については郵便以外の手段は利用されておらず、今後も当分は日本郵政公社(2007年10月1日からは「日本郵政株式会社」になる予定)が独占的に事業を行います。しかし電信網の発達により郵便制度の意義は薄れているのも事実です。郵便制度は人口が少ない地域では採算が成り立たず、今まで国営で全国あまねく提供されてきたサービスも、民営化に伴って地方ではサービスが低下してきています。
話は変わって日本放送協会NHK)の存在意義も薄れています。NHKの目的は放送法で「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内放送を行い又は当該放送番組を委託して放送させるとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送及び委託協会国際放送業務を行うこと」と記されています。しかし、全国のほとんどの家庭にテレビの受像器が設置され、テレビの見られない地域はほとんどありません。『あまねく日本全国において受信できるよう』という目的は達せられ、「NHKは見ないから受信料は払わない」などという人が大手を振って闊歩する時代です。
そこで考えました。(1)国営の郵便制度は廃止します(すでに民営化が決定されていますが)。郵便事業者には全国をカバーする義務をかしません。(2)全世帯に情報端末を設置します。郵便の変わりに利用できるように高度な信頼性を確保し、各地域の防災無線やテレビ・ラジオ、電話などの機能を内包させます。誰でも利用できるように操作法を極限まで簡単にします。(3)情報端末への情報配信を「放送」と位置づけNHKが技術開発を行います。情報端末の利用料金を「受信料」にします。
問題も沢山あります。まず情報端末を各家庭に設置する必要があるわけですが、情報端末をどの様な権限で設置するかです。テレビと同じように買いたい人だけ買う…とすると、情報が届かない人が出てくるので郵便制度の代わりにはなりません。防災無線のように国や地域が全世帯に配布するのが現実的だと思います。つぎにNHKの受信料の在り方です。テレビの場合、受像器を設置することでNHKと契約することになりますが、今回の提案の場合、全家庭に強制的に情報端末が設置されるわけで強制であります。国営でないNHKが強制的に端末を設置し受信料を要求するというのは現実的ではありません。そもそもNHKを絡めたのに無理があると思います。最後に操作方法の習得が難しかろうという問題です。手紙やハガキなら、書いてある文字を読むだけで理解できますが、情報端末の場合、情報を表示させるために所定の操作を行う必要があります。銀行のATMでさえ操作に苦しむ人が居るというのに、全国民を対象にした情報端末を導入するとすれば、よほど操作方法を分かりやすくする必要があるでしょう。
ただ、今後は防災無線がデジタル化され全国瞬時警報システム(J-ALERT)になるそうですし、気象庁緊急地震速報システムなども今年中に実用化される見込みです。バラバラに規格化していたら効率が悪いじゃないですか。NHKを情報を一元的に管理できる能力を持った団体として強化し、通信も可能な情報端末を各家庭に配布すれば、少ない資金で大きな効果が得られるのではないかと思います。…まぁ、将来的にはそういう流れにもなるのかも知れませんが、現時点においてはおとぎ話ですね…。



ところで、気象庁の「緊急時地震速報」ですが、IPv6を利用するかP2Pなどの技術を利用しましょうよ。グローバルIPアドレスを準備してくださいって、あんまり現実的ではないと思います。利用料金が5万円〜というのも、研究段階とはいえ、ぼったくりすぎ。緊急地震速報表示システムの名前が「まえぶれくん」というのも微妙ですし、Java製ソフトみたいなのにWindowsでしか動かないというのも謎。だいたい、このWEBページはないでしょ。文字部分まで含めて全部画像化されている…。